James Brown / Gravity


Gravity

1986年発表のこのアルバムのライナーノーツに、次のような解説が書かれている。

今、再びエネルギッシュに活動を開始したミスター・JB、LPタイトルの"グラビティ"などを聴いていると、60年代後半のあの、"パワー"をぼくは感じる。これが50代半ばの男のものとは思えないと感じる人も多いと思うが、実はそうではなく、JBは死ぬまでこのままなのである。

本当にそうだった。この解説が書かれてから20年間、死ぬまで同じパワーであり続けた。

このアルバムは白人であるダン・ハートマンにプロデュースを任せており今迄のアルバムより聴きやすくなっているが、本人の「濃さ」は全く失われていない。
次のアルバムでは自分よりずっと若い黒人グループにプロデュースを任せているが、やはり強烈な濃いパワーのままであった。

学生の頃に通っていた飲み屋のマスターの意見はこうだった。
「シャウトしているだけだ。」
その通りである。ウン十年間、延々とシャウトを続けたのである。

1992年頃にJBのライブを観に行ったことがある。このときはハードロック系を聴いている後輩を無理矢理連れて行ったのだが、彼の感想はこうであった。
「昔と同じじゃないか。」
その通りである。ずっと同じなのである。

私が観た最後の「動くJB」、Live8のときのパフォーマンスも同じスタイル、同じパワーであった。

JBが生み出したスタイルを受け継いだミュージシャンは数あれど、死ぬ迄同じスタイル、同じパワーであり続ける人などいるのだろうか。