四人囃子 / 一触即発


一触即発(+2)(紙)

和製プログレ。完成度が高い。これは名盤です。
さっき検索してみたら、みんな褒めてますね。
折角なので、私は悪口を書く事にしましょう。

そりゃそうですよね、プログレというと普通は洋楽、そのなかで和製のものを紹介するとなると、よほど思い入れがあるわけです。
かつて廃盤だった頃は、とんでもない高値で売られてました。海外でもマニアが喜んで買っていたようです。
先日ふとショップに寄ったら1500円で売られていてびっくりしました。しかも2曲オマケで増えてるし。思わず買ってしまいました。

このアルバムが出たのは1974年。それまでのプログレ界の出来事を調べてみました。

1969 In The Court Of The Crimson King クリムゾンキングの宮殿 (King Crimson)
1971 Pictures at an Exhibition 展覧会の絵 / Tarkus タルカス (EL&P)
1971 Fragile こわれもの (Yes)
1972 Close to the Edge 危機 (Yes)
1973 Dark Side of the Moon 狂気 (Pink Floyd)
1974 一触即発

プログレの美味しいアルバムが一通り出そろった後に出てきた盤ですね。
当然のごとく、それらの盤をすべて聞き込んで十分に研究しているわけですよね。
更に、この時代に元気のあったDeep Purpleなんかを聞き込んでいる感じもあります。

当時としては、日本のロックは英語で歌うべきか、それとも日本語で歌うべきかという議論が収束して来た時期だと思います。しかし、輸入ロックと同じレベルになっているかどうかは、まだ誰も自信が持てなかった時期でしょう。そもそも洋楽に追い付こうと考えた時点で負けているわけですが、そんな余裕はなかったんでしょう。
そういう時代に「本物のロック」を完成させたんですね。
「和製ピンクフロイド」なんて呼ばれていたみたいですが、まさにその通り。EL&Pやクリムゾン、ディープパープル、あとちょっとラテンっぽい音があって、これはサンタナかもしれない。
とにかく、当時の輸入音楽をしっかり聞き込んで、自分たちなりに消化して作り込んだわけですね。
海の向こうのプログレ本家の連中は、試行錯誤を繰り返しながら完成度を高めていったわけですから多少造りが雑な部分もありました。やっと「完璧」になったのがDark Side of the Moonなわけじゃないですか。
それらを全て聴いてから作ったんですから、そりゃ出来がいいわけです。日本人の仕事ですから、細部まで丁寧に造ります。
そりゃアンタ、完璧なものが出来ますがな。
これを最初に聴いた日本人は、「ああ、遂に日本のロックもここまできた」と思ったわけです。
これを当時の海外に持ち出したら、「この音は既に聴いたことがある」という話になるでしょう。珍しいのはせいぜい日本語のボーカルでしょうね。

とどのつまり、内容は完璧です。
演奏技術ではピンクフロイドより上です。困ったもんです。

[追記]
ボーカルはかなり違和感があるのですが、数回聴いたら慣れます。 時代背景を考えると、発売当時は特に違和感のないボーカルであったと思われます。