先日死去したリックライト。
ピンクフロイドでは地味な存在であったが、彼のソロアルバムを聴くと、実は非常に重要な人物であった事がわかる。
Dark Side of the Moon
以降の
ピンクフロイドといえば、ロジャーウォータースとデイブギルモアの2人が目立っていたのは事実。他の2人は、居るんだかどうだかわからないようにも聴こえる。
しかーし、リックのソロを聴くと、「あー、
ピンクフロイドのこのファクターはリックだったんだ」という事がよくわかる。
Wet Dream
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: One Way
- 発売日: 1993/08/10
- メディア: CD
発表時期は
Animals
と
The Wall
の間。リックライトの存在感が薄まってきた時期である。
Pink's Song
なんて意味ありげなタイトルの曲まで入っていて、フロイドから離れようとしている心理が伺える。
ピンクフロイドのアルバムと比べると、音は地味だけど明るい。明るいけど地味。ジャケットのとおり、夏のまったりとした空気感です。
すなわち、
ずーんと重くなりがちなフロイドの雰囲気を緩和していたのはリックである事がわかる。更に、
まったりとした雰囲気を下から支えていたのがリックであることがわかる。
The Wallはロジャー色が強くなったというのが一般的な解釈ですが、リック色が無くなったということもわかります。
この盤は永いこと廃盤で入手困難。中古盤はメチャクチャ高い。
[追記] 2009/03/11 に再発になりました。
タワーレコードで適正価格で売ってますね。一方、アマゾンの方は不適正価格で売ってるなあ。
なお、「Wet Dream」は「湿った夢」という意味ではありません。「エッチな夢」という意味です。
このアルバムの後にZeeなるバンドをつくってアルバムを発表してますが、聴いた事がないのでわかりません。本人が「失敗作」と言っているので、まあいいや。
発表時期は
Pulse
の後。永い事スランプだったリックですが、フロイドに再加入してリハビリ完了、さっそくソロアルバムつくりましたー、という感じでしょう。
前作と比べると暗くなったというのが一般的な評価ですが、私はそうは思いません。年齢を重ねて深みが増したと解釈します。
深く深く海の底に沈んでいくようなイメージで流れるように曲が続きますが、途中に目が覚めるような曲が入ってアクセントになっています。前作は一曲一曲が個別の感じでしたが、今作は
組曲風です。これはフロイドで培った手法ですね。全体のコンポーズの完成度が極めて高いです。たぶんギルモアより上です。
日本盤は廃盤。UK盤は現在もあります。ただし輸入盤屋の店頭でも全く見掛けません。注文すれば入手可能です。
なお、「Broken China」は「壊れた中国」という意味ではありません。固有名詞なので大文字で「
China」と表記しますが、本来は「
china」すなわち「陶磁器」です。陶磁器を砕いてから並べるアート作品のことを「ブロークンチャイナ」といいます。ジャケットをよくみると、実際にそうなっています。
というわけで、リックライトが重要人物であった事を書いたわけですが、ニックメイスンは必要ないのかという話になっちゃいますね。ニックメイスンの重要性に関しては、そのうち書こう。